低温グライディングアーク装置開発

<研究の背景と位置付け>

 グライディングアーク放電とは大気圧中の弧状の電極間に放電を発生させ,電極間を流れるガスによって放電の位置を移動させる放電形式であり,表面処理,材料加工,汚水処理,排ガス処理など様々な用途で使用されてきた.しかし,従来のグライディングアーク放電システムは電流を制限するための抵抗とイグニッション予備電離,絶縁破壊を発生させるための高電圧が必要であり,プラズマのインピーダンスが低いため大電流が流れ,結果的に電力消費が大きくなってしまうというデメリットを持っている.また,グライディングアーク放電では熱電子放出を主とした放電のため電極温度が上がり,ガスの流れにより対流熱伝達が起こるためガス温度も高くなる.排ガス処理を行う場合は熱の有効利用が可能であるが,表面処理や材料加工などターゲットの耐熱性が低い場合は,ターゲットに熱の影響が及ぶことは好ましくない.私たちは,ターゲットに熱的な影響を与えず,消費電力を抑えることで,広い分野でのグライディングアーク放電の応用を目標としている.

 現在,低温グライディングアーク放電装置の開発に成功したため,次の目標としては装置の大型化を考えている.この目標を達成することができれば,より大きなターゲットの処理に応用できる.



<担当学生>

2017年度

高浪 蓮(M2)

江藤 功貴(M1)

首藤 慶太(B4)




Fig1

Fig.2