単層カーボンナノチューブの生成とガスセンサへの応用 <研究の背景と位置付け> カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube:CNT)は1991年にに発見されて以来、様々な特異な電気・化学的,機械的物性を有することから,様々な分野での研究がなされています。一方で近年、大気の環境悪化に伴いNOXやSOXに対する環境基準が厳しくなっており,これらのガスをppbレベルで検出できる安価なガスセンサの開発が必要となっています。 本研究では、低温で高感度な計測が可能になると期待されているカーボンナノチューブ(CNT)ガスセンサを作製し、センサのNO2ガスへの検出特性を調べています。 <研究成果および課題> 単層CNTの生成にはPLA(Pulsed Laser Ablation)法を用います。この方法はレーザをNi, Co金属触媒を含んだグラファイトターゲットを高温の不活性ガス中でアブレートすることにより蒸発させ、気相中でCNTを生成させ,冷却したコレクタ表面に付着させて回収するものです。さらにCNTを用いたガスセンサの作製にはCNTをDMF(ジメチルホルムアミド)中に分散させ,Ptくし型電極付のアルミナセンサ用基板上にCNT懸濁DMF液を滴下して,乾燥させます。次にセンサのガスに対する感度計測装置を用い、試作したCNTガスセンサの被検ガスの検出特性および応答性・再現性について調べます。ここではガスセンサをNO2にさらし、そのときの抵抗の変化をマルチメータで計測します。 得られたTEM像(図1)と分裂したGバンドをもつラマンスペクトルの結果(図2)から、バンドル化した純度の高い単層カーボンナノチューブ(SWNT)が得られたことがわかります。またセンサ温度150℃において、濃度2ppmという低濃度のNO2ガスに対しても抵抗が変化し、NO2を止めると元の値に戻りました(図3)。このことから作製したCNTはNOxガスセンサとして応用できると期待できます。 今後は、直径がさらに細いCNTを作製することやガスの脱着方法、センサの作製方法を改善することで、室温で低濃度のガスが検出できるように研究していきます。 <担当学生> 上田 剛 (2004年4月(M1)〜) 香月定行 (2005年4月(B4)〜2008年3月(M2)) 高橋康介 (2006年4月(B4)〜) 中垣友成 (2007年4月(B4)〜2008年3月(B4)) |
Fig.1 Fig.2 Fig.3 |